祖父にあたる人の話など云々。

私の父方の祖父に当たる人は、どうやらジャーナリストだったらしい。
らしい、というのは私が生まれるずっと以前に他界していたためあったことがないからである。
その人はどうやら特高からひどい目にあわされた人……であるらしいということまでは分かっている。

かつてこの日本には、治安警察法治安維持法という法律があった。
かつて、この国には新聞条例という法律があった。

私は、その人のことは詳しくは知らないが、かつてあった法律が悪法であったことは知っている。
いま、この国には幸いそれらの法律はないが、下手をすると前の日記で揚げた法律郡がかつての言論統制と同じ酔うな働きをすることは想像に難くない。

私はその人の意志を継ぐような人間ではないけれど、でも、今のこの国のとりあえずしゃべっても、文章を書いても、絵を描いても罰せられることのない空気は大好きだ。

もしこのことが「退廃」だというならば私は、むしろこの退廃を愛する。
ある種の秩序が支配する健全で清浄なる理想郷など糞くらえだ!

この希有なる自由、退廃した世界こそ、むしろ次の世界が引き継ぐために残さねばならない遺産にちがいないのだから……。