ぼくがいる

こう書いている僕を嘲笑う僕が居る。
僕以外の僕が、全てを蔑んで全ての反応を楽しんでいる。

ココにいる僕は僕以外の僕ではなくそして僕はそれ以外の僕はいない
無数に散らばる僕の中で
ひょっとするとそれ以外の僕がそこかしこのどこかに

舗装された道路の下閉じ込められて行き場のない蝉のように
放置された休耕田の真下のくすんだ感情の下で
見つかることのない相模灘の海底のどこかや宮ヶ瀬の湖底に打ち捨てられた廃墟のどこかで
丹沢や青木ヶ原樹海の深いどこかで

もしかしたら本当の僕は
ココにいる僕以外の埋まっている誰かのうちのひとりとして
どこかに見つかることのない絶望的な無意識を共有している

もしかしたら、
全てを観察しながら嘲笑うようすぐ後ろに佇んでいるのが本当の僕で
今ココにいる僕は空の器に入り込んだ幻覚の一つが存在の確証を得ようと足掻いているだけの幻影に過ぎないのかもしれない。

ならば、ぼくはどこにいる?
ならば、ぼくはどこにいない?